北の大地で雪にまみれながら感じた、(柔らかな乳房の)広大さと温かさ。
厚い雲の中を抜けると雪国であった。
二泊三日で北海道に行っていた。東京からたった一時間半で景色は白く染まった。気温は一気にマイナスの世界へと突入し、降り積もった雪はブーツへ侵入。想定外、まさかのウルトラ猛吹雪。着いてそうそう北の大地の洗礼を受けるスタートになった。
「3月でこの大雪はなかなかないですね〜」
ふらっと入ったBarのマスターに言われた。こんな吹雪くとは北海道在住の方々も思ってもみなかったよう。なるほど、北の大地の洗礼というより、もはや予め課せられた試練だったらしい。休暇だから羽を伸ばせるという考えは甘かった。雪に耐えて強くなれ、全身雪だらけの私に、北海道は力強く語りかけていた。
道産子は傘ささないよ、キャバクラ(東京ではおっパブのこと)の女の子はそう教えてくれた。確かに傘を持っているのは私など観光で訪れている人だけだった。
「あんなに降ってるのになぜ傘ささないの?」
「雪が降るのはいつものことだし、滑ったりしたら危ないからかな。」
「そっか、片手がふさがっちゃうもんね。」
「そうそう。」
確かに路面はところどころ凍結していてかなり危険だった。特に大酒を飲んでフラフラ歩くのはかなり危ない。腹ばいになりスルーっと滑った方が安全だろう。しないけど。
深く積もった雪に足を取られ不格好に歩く。ナビ上では10分で着くと表示されている距離を、はあはあ言いながら15分かけて進む。その横をワーワーはしゃぎながら小学生が駆けていく。向いの交差点には、悠然と自転車を漕いでいくおばあちゃん。ああ、皆さまたくましい・・・。
なるほど、これが、北海道か。
出会った人々のほとんどが北海道出身だった。そして彼ら全員に共通したのは、この寒さに負けない温かい心だった。ほとんどが接客業をされている方だったというのもあるが、‘‘営業的‘‘だけでない「おもてなし」を感じた。幼き頃から培ってきたたくましさから生まれる、広大な優しさが醸し出す安心感なのか。
飲んでイェイ♥して、飲んでイェイ♥して過ごした数日間。柔らかな雪や柔らかな乳房に触れながら、とても穏やかな時間を過ごさせて頂いた。皆さんの懐の深さを忘れることはないだろう。広い心(おつぱい)はとても心地が良かった。
まさしく、
ほっかいどうは、でっかいどうだった。
(ちなみにちゃんと観光はした)